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芋けんぴ農場

自称芋けんぴソムリエが徒然なるままに感想や日々の雑感を記します。頭の整理と長い文章を書く練習です。

【漫画】東京タラレバ娘/東村アキコ

 

 

Warning!  ネタバレを含みます!

 

 

 

アラサー女子(女子???)の心を抉ると話題の漫画、
東京タラレバ娘』1~4巻(既刊5巻)を読んだ。

 

***

とりあえず、自分の人生自分で責任もって考えて行動しなさいよ、
って話なのかなと思った。

主人公の倫子さんはアラサー未婚女性。仕事はぼちぼち、恋愛はもっとぼちぼち。
脚本家として独立し、表参道にオフィスを抱えるくらい成功してはいるけれど、
書く話のスタイルが古いと言われ、仕事を干されかけている。
そんな彼女は、
昔言い寄ってきた男を選んでい「タラ」、
あの時ああしてい「れば」、
でもあの人よりはマシ、と女子会で愚痴を垂れて自分を慰める日々だ。

 

そんな倫子さんが男を選ぶ基準はズバリ顔(というか見た目)。
一応言っておくと、選ぶのは悪いことじゃない。

生理的に合う人合わない人というのはどうしたって存在する。
それに、彼女は仕事でまあまあ成功している自負もあるわけで、
その誇りに見合うだけの人を選びたい、というのも自然な心理だと思う。
※だから、私はタラレバを読んで「やっぱもう妥協しなきゃダメなんだ」っていう結論を導くのは違うと思う。

 

でも、問題は、自分が選ぶのと同時に選ばれなければいけないわけで、
その基準を自分から減りつつある価値=外見の美しさ、に依存させるのって
苦行すぎない?って話だと解釈している。
相手も自分と同じ物差しで恋人を選ぶとは限らないけれど、
この時点で大きなずれがあると、
最初から大きな価値観のずれを内包した関係になる可能性が高いのでは?
と思います。
大人として壮年(!?)に向かいつつある立場としては、人としての成熟とか、
それまでの経験から確率した価値観をもとに相手を選ぶ方が(言い方は悪いけど) 自分の良さを見せやすいのでは?
と思うわけだけど、倫子さんはそれができない。
だからイケメンモデルのkey君にお説教されてしまう。

いい歳こいて 女同士でつるんで 騒いで
あること ないこと 妄想して 興奮して
それだけに基づいて たいして考えもせず 行動する
だから オレも 警戒する
なあ
一体 何の為に 歳 取ってるんだ あんたらは

結局、ここに行きついてしまうような気がする。
自由の街・東京で「幸せ」(倫子にとってはイケメンと結婚すること)が欲しいと願いながら、
人の忠告を聞き入れず、自分の価値観に固執してたいした行動もしない。

その真逆の存在が、アシスタントのマミちゃん。
彼女は若く、大胆で、倫子のアドバイスもすぐに聞き入れ、

仕事で成功の糸口をつかみ、
おまけにテレビ局のディレクターと結婚前提で交際中だ。
この娘は仕事も恋も手に入れているのである。

 

倫子さんの将来としては、
・結婚をあきらめ、仕事一筋

・仕事を捨てて(奇跡的にパートナーを見つけて)私生活に邁進

・両方とる

・両方ダメになる
全部ありえるわけだけど、自己評価と現実のギャップを直視したうえで
(彼女のルッキズムに基づいた相手選びは修正が必要)、
自分で自分の生き方を再定義するフェーズが彼女たちには必要なように思われる。

マミちゃんが強いのはここ。

素直だから、人に指摘されたらすぐ行動できるわけで。あー耳が痛い。

 

マミちゃんは、人の評価や常識に良い意味でとらわれない。
自分がやりたいこと、すべきことを淡々とやる子だ。
だから人と比べることもない。
これも倫子さんと違うところ。

 

でも、わかる。どうしたって比べたくなっちゃう。
勉強も、容姿も、仕事も、私生活も、比べたくなっちゃう。
その延長には、きっと彼氏(夫)や年収も出てくるんだろうと思う。

いや、もう始まっているのかも。
でもそうやって、倫子さんみたいに
「あれはない」とか
「あれよりマシ」とか言って 優越感ゲームに参加する限り、
自分よりも「強い」人が現れたら、
どんなに満ち足りていても惨めになるんですよね?(そうです)
そう思って、懸命に抗おうとしている。
隣の芝はいつだって青いけど、その隣の人が手に入れた状況は、
私が今持っている手札とは何の関係もない。
見えてしまっているだけなのだ。

だったら、隣人と自分の際限のない競争を止めよう。

嫉妬する心に抗おう、そう思っている。
隣人にうれしいことがあったら、言葉からでもいいから絶対に喜ぼう。
お祝いしよう。
気持ちもいずれついてくるさ。
(でも今のところ嫉妬で狂いそうです!みたいなことは起こっていない。
友人の結婚報告は本当に嬉しかった。)
隣人が苦境にあったら、優越感が言葉になる前に一緒に悲しもう。
隣人が手に入れたものが羨ましいと思うなら、自分もそうなれるように努力しよう。

教えを請おう。
そうやって、比較に比較を重ねてボロボロになる前に、
なりたい自分を外に出してしまって、
隣人と自分を比べてしまう癖に打ち克ちたいと思っている。

 

綺麗事だろうか。

 

でもやるぞ。

 

*** 

最後に蛇足なんですが、なんで倫子さんは(世にある恋愛漫画/ドラマも)、
最初から完璧な人を求めているんだろう?
倫子さん、途中で爽やかイケメンと付き合うことになるんですが、
彼の映画好きについていけずにお別れしてしまう。
そのとき、倫子さんはひとりで「この人とはうまくいかないわ…」
と考えて別れを切り出す。
なんで話し合わずに結論を出してしまうんだろう、って不思議で仕方ない。

 

 


アラサー女の魂と人生を揺さぶる漫画です!!!
★★★★

 

 

 

 

【駄文】大学を卒業した

 

 

自分のために書いた、超個人的な雑感です。

 

先日、都内の某マンモス大学を卒業した。思い描いていたような華々しい大学生活では決してなかった。でも、それなりに満足している。それだけのことだけれど、大学生活について少し書こうと思う。

 

***

高校時代、英語がすごく得意だった。自分でも努力したと思うし、それが試験の成績として返ってくるのでとても自信になった。努力すれば結果は必ず返ってくるんだ、そして、その結果は、大抵の他人よりも優れたものであるのが当たり前だった。

 

でも、大学に入ったらその自信は砕け散るのね。

ちょとやそっとの努力では絶対に勝てないような人たち、を初めて見た。しかもそういう人たちが大勢いた、というのが衝撃だった。英語だけじゃない。専攻の経済学も、第二外国語も、サークルも…すべてを器用にこなす人もいたし、一点突破で何かに物凄く秀でた人もいたし、とにかく皆才能も自信も溢れているように見えて、私はあっという間に溺れた。

自分の世界はなんて狭かったのだろうと思ったし、中途半端な努力では上に挙げた人々と同じ土俵に立つこともできないだろう、と分かっているのに何も出来ずに時間だけが過ぎていくのがもどかしかった。

 

***

 

それからは一人でもがいて、とても苦しかった。

 

留学してみたり、途中放棄しかけた経済学をもう一度ちゃんとやろうと思って数学のゼミや基礎のクラスを取り直したり、いろいろあった。

経済学に関しては愛憎これ極まれり、といった感じで、学部に入ったころは理解できなさすぎて成績が底辺なのだが、少しずつ氷を融かすように、沢山の人の力を借りてちゃんと愛せるようになったと思う。学問を愛せるように、ってなんか変な表現だけど。

最後まで経済学にこだわったのは、ただ「出来ない自分」が受け入れがたく、情けなく思ったからなのだけど、それはつまり前述したような「すげー奴ら」と自分を比較し、彼らの才能を羨み、持たざる者として存在する自分を否定したかったからなのだと思う。

 

けれど学問とは不思議なもので、(語る資格が無いのは重々承知しているが、)次第に他人が云々よりも、自分が知らないことに対する焦りでいっぱいになり、それを過ぎると、焦りがある一方で「ここは前分からなかったところだけれど、今はわかる」というささやかな自信がついてきたのは大きな発見だった。

 

学生最後の1年間は、高校の時に経済学を志した原点となる問題意識に立ち返り、学生読書室に引きこもる日々を続けた。何をすればよいか分からないところから始めたため、自分の知識・研究のレベルの低さに帰り道で涙したことも一度や二度ではないが、次第に学問の大きな渦の中で、自分のやりたいことが明確に定義されていき、自分の理解の境界が見えるようになるのがたまらなく苦しく楽しかった。

そうして迎えた最後は、自分の歩みに対する嬉しさ、それでもまだ知るべきことが山とあることへの焦り、そしてすげー奴らへの尊敬で、やり場のなかった感情を収めることができたと思う。

(ちなみに、ささやかに論文の内容を作るところまでは終わったのだが、恥ずかしながら執筆する方が間に合わなかった。卒論は諸事情で昨年提出済みなので今年は書かずとも卒業してしまった。やらなくて良いと言えば良いのだが、気持ち悪いので社会人になってからもしばらく取り組むことになりそうだ。)

 

***

きっと、到底かなわないような「すげー奴ら」に沢山会うというのは私の人生のどこかに必要で、それを大学という場で経験できたことは幸せだったのだと考えている。

きっと、世界のすべてを知ることはできないし、世界の未知への焦りは一生続く。だから、自分の進歩をちゃんと認識できるようになったこと、その一方で世界の広さに謙虚になることは、大学生活で得た大きな成果だと思う。しかし、それと同じくらいに、私は「何者にもなれなさそうである」という事実を受け止める必要があったのだ。私はふつうの(それどころか、もしかしたら普通よりも若干劣った)人間だった。今までは世界が狭かったからそれが分からなかったけれど。

これについてはまだケリがつき切っていない感じがしなくもないが、とりあえず私は自分が思ったほど優秀ではなかったという事実を直視しようと思う。

私はとても頭がいいわけではないし、何か特別秀でたものを持っているわけでもない。でも、自分を必要以上に卑下することなくこの認識を持つことが出来たなら、私はまた”世界対私”の関係の中で自分の世界の境界を広げるべく、謙虚に努力できる気がする。

 

***

明日からは社会人になる。

社会、もしくは世界というものはきっと、大学などとは比べ物にならないほど広く、果てしないのだと思う。

きっと、これからも私はたくさんの「すげー奴ら」に出会い、(良い意味でも悪い意味でも)世界の広さに圧倒される日々が待っているのだろう。

上に書いたように、「(うまくいかなかったけど)私は頑張った」だなんてここに書き捨てて、過去は過去としてしまっておこうと思う。過去を振り返り、それにすがって生きるには私は若すぎる。

 

 

明日からは謙虚に新しい世界に挑戦することを銘とし、青臭いことを承知でアジカンの歌詞を引用して学生最後の日にピリオドを打とうと思う。

 

 此処に在ること

此処で見ること

そのすべては誰のもの

塞ぎ込むより

まだ見たことのないような景色があるよ

(中略)

 

路面 湿った雨のにおい

嗅覚で そう 未来を知る

電線の共鳴 風の道

聴覚で そう 現在に出会うよ

 

揺れる世界を越える情熱を

一瞬の邂逅を

告げるサヨナラを

永遠の漂流を

夢と現実を

旅の果てに僕は探すよ いつも

(ASIAN KANG-FU GENERATION トラベログ)

 

【映画】風立ちぬ

 

 

Warning!  ネタバレを含みます!

 

 

感想を書く気はなかったうえに、途中まで書いた記事がうまく保存されずに消えてしまって戦意喪失しているのだが、備忘録的に簡単に書く。

 

***

飛行機に憧れ、恋した少年・堀越二郎の話だ。

二郎は幼いころから飛行機が大好きだった。彼は飛行機を設計することを夢見て、東大を経て三菱重工業に入社する。失敗もあれど、彼は若くしてドイツ留学、設計チーフなどを次々と任される。会社のホープである。

一方、彼は会社の休暇中、軽井沢で菜穂子と再会する。彼女は、東大に入学するために上京していた最中に遭遇した関東大震災で、二郎が助けた女性だった。瞬く間に恋に落ちる二人。結婚の約束をして二郎は軽井沢を去るが、その時すでに菜穂子は結核を患っていた。

結核を治したい一心で、独り高原のサナトリウムで療養することを決めた菜穂子だが、二郎からの手紙を読んで、彼に会いたい一心で二郎のもとに来てしまう。そこで正式に結婚する二人だが、二郎は会社の期待を一身に背負い、仕事で多忙を極めていた。

そして、菜穂子はいよいよ結核が進行していることを悟り、誰にも告げずにまたサナトリウムに独り戻ってしまう…。

 

***

 

この映画ね、途中まですごく好きなんですよ。

これが公開された時に、当時のサークルの先輩が

菜穂子のことが心配で仕方なく涙してしまいながらも、飛行機への憧れから仕事をする手を止められない二郎が美しいと思った。

というようなことを言っていて、なるほど確かにそうだなあと思いながら観ていた。好きで好きで仕方ないことを持つ幸せというか、そういったことへの憧憬が私にはあって、純粋に二郎のことが羨ましいと思った。

 

でも、それはある種の呪いでもある。

貧乏な国が飛行機を持ちたがる。矛盾だ。

という、同僚である本庄の言葉に表されるように、この映画には確かにいくつかの葛藤が埋め込まれている。

その最たるものが菜穂子さんだろう。彼女を愛しているけれども、飛行機のことがあるから傍にいてやれない。そして彼女と共にサナトリウムに行くこともできない。

彼にとって飛行機は唯一絶対の存在であり、恐れずに言ってしまえば菜穂子さんよりも断然飛行機の方が大事なのだよね。それは、菜穂子さんが可哀想だと妹になじられたとき、

僕たちは一日いちにちを大切に生きているんだ。

と返した二郎の台詞によく出ている。菜穂子さんが一日でも多く生き延びることよりも、今ここでしか出来ない飛行機の設計をしながら、菜穂子さんと一緒に暮らす方がいいということ。

 

***

 

ここまでならまだ良かったのだが、最大のモヤモヤポイントになっているのが最後の「ありがとう」だ。

創造的寿命の10年が過ぎ、終わってみれば、自分の作った飛行機は国を亡ぼし、戦争の道具になっただけだった。愛した人も死んでしまった。

このような状況で、彼は菜穂子による赦しを得てワンテンポ置いて「ありがとう」と返す。好奇心のある限り作り続けねばならない。命ある限り生き続けなければならない…というメッセージだろう。(これを引退作で言うということは監督自身へのブーメランにならないのだろうか?)

 

これは私のものすごいエゴなのだが、私は二郎にはもっと悩んでほしかったのだ。自分の夢、憧れ、それらを実現した一方で、彼はちゃんと自分のしていることへの矛盾に気づいていた。そして、いつかその代償を払う日が来ることもわかっていた。(これを表すのがトーマス・マンの『魔の山』のくだりだ。)

そのような葛藤を全部抱えたままラストに突入したのだから、それを菜穂子さんのたった一言で解決・救済してほしくなかった。自分はなんと多くのものを犠牲にしたのだろう、そして何より、彼女の赦しを受け入れていいのだろうか?と、もっとドロドロに悩んで涙して苦悩してほしかった。

 

そう思うのは、私が才能を持たない側の人間であり、いつもいつも取り憑かれたようになってしまうほど好きなものも無い人間だからなのかもしれない。

そういう「何か」がある人にとっては、こんな悩みなど考えるに及ばず、粛々と「壮大な事業」を成し遂げていくだけなのかもしれない。

 

***

 

ここまで思い至ったとき、アレ?デジャヴだな?と思った。

そう、これは『夜間飛行』だ。

監督が飛行機マニアであることからして、サンテグジュペリを愛好していることは想像に難くない。そして、夜間飛行ではないが、『人間の土地』に関しては表紙絵まで描いている。

才能・夢、そして生活。どうやらこの二者は両立しないのかもしれない…関係ないことと分かってはいるのだが、仄かな絶望を感じながら筆をおくことにする。

 

 

湧き上がる情熱に敬意を表して

☆☆☆

 

 

 

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夜間飛行 (新潮文庫)

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【映画】ノッティングヒルの恋人

 

 

Warning!  ネタバレを含みます!

 

 

なんかバレンタインデーらしいのでノリで観てみた。感想もノリで書くぞー

 

イギリス留学していた時、日本人にとってのジブリというか、みんな観ていたり、ある程度粗筋や有名なシーンを知っていて当たり前な映画がイギリス人にとってもあることに気付いた。具体的には、ディズニー映画全般(特にライオンキング)、スターウォーズ、ラブアクチュアリー、ヒッチハイカーズガイド(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy)、そしてこのノッティングヒルの恋人、あたりではないだろうか。

 

有名なので説明するまでもないかもしれないが、ジュリア・ロバーツ演じる大女優であるアナ・スコットが、イギリスの冴えない本屋の主人と恋に落ちる話だ。

この映画と言えば!なシーンが、家のドアを開けたら取材陣が蠢いていて写真を撮られまくる場面だろう。それだけ知っていて視聴し始めたのだが、最初から最後まで違和感しかなかったぞ!

***

 

まず、大女優が本屋の店主に一目ぼれ?していきなりキスして帰っていくところ。

どんだけ軽いねーん!!!と突っ込みたくなった。というか突っ込んだ。

でもまあ、遊ばれてるのかなって思うじゃないですか。フィクションとか置いといて現実的に考えるならば。しかし、その後、アナが本気っぽい感じでデートし始める。

一方、ヒュー・グラント演じる本屋の主人であるウィルは、この時点ではまだ信じられない感じが良く出ていて好印象だった。彼のおかげでこの映画の脚本の不自然さがだいぶんほぐれていると言っていい。

ただ、アナにキスされまくっているうちに本気になっちゃうんだよね。

 

で、アナに彼氏がいたことが発覚するんだよね笑

ほれみろ!みたいな笑 現地妻ならぬ現地彼氏だったわけでした(失敬)

傷心のウィルは、合コン?見合い?をしまくるんだけど、やっぱりアナのことが忘れられない。「出会いは奇跡だよ!」なんつて。

 

そこに、またアナがやってくる。昔のヌード写真をばら撒かれて傷つき、また、マスコミからの逃げ場としてウィルの家を選んだのだ。ザ・都合のいい男!

そこで、またグレーな空気が流れた後に、ついに関係を持ってしまう。その翌朝、ウィルが玄関のドアを開けた瞬間にパパラッチ、その後アナも無邪気に(?)ドアを開けてパパラッチ、錯乱したアナはウィルに罵声を浴びせて去っていく。

ここから先の細かいところはまあ観てください、ということにしておこう。

***

 

全体として思ったのは、コレは男の人版少女漫画なのかな?ってこと。

ある日突然、めっちゃ綺麗な人が自分が好きであるかのような行動をしてくる。キスとかキスとかキスとか。

実際、そんなうまくはいかなくて、途中相手に彼氏が居ることが発覚したり、パパラッチされたり云々するんだけど、それでもアナはやっぱり一途にウィルのことを想っている。そして最後にようやくウィルに関係を決める選択権が回ってくる。

これ、男女逆転させたら少女漫画でよくあるやつだよね?身分違いの恋、身分が上でしかも超絶ハンサムな相手からの求愛、相手の恋愛がらみのハプニング、身分違いについての社会的バッシング、求愛アンド求愛、好きかもしれない、行き違い、そして最後には自分に選択権が与えられる…という。(ぱっと思いついた限りだと、漫画『姉の結婚』がかなり近い構図だと思う。)

これはつまり、男の人もこういう、「求められて困っちゃった末に相手を選ぶ」という乙女的展開を望んでいることを意味するのだろうか?というのも、この映画は脚本的に女(アナ)には感情移入できないようになっている。全編を通してウィルの視点でしか語られていないから、アナの振る舞いは(少なくとも私から見ると)とても自分勝手に映るのだ。それでもこの映画がウケるのは、「いいなあ、こんな恋愛できたらなあ」って思っているから…としか説明がつかないのである。

***

 

まあ、たまにはこういう話もいいかもね、フィクションだし()

しかし、この非現実感とは裏腹に、映画としてはコンパクトで、ずっと画面に引きつけられた。あまり難しい伏線を張らず、多くの人が素直に解釈できるまっすぐな表現の心地よさのせいもあるかもしれない。

でも、やっぱり最後に言いたい。

 

何もしないのに理想ななめ上の相手に好かれるなんて、そんな都合の良い話ありませんからーー!!!

 

 

☆☆☆

 

 

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【映画】そして父になる

 

 

 

Warning!  ネタバレを含みます!

 

 

テレビをつけたら偶然やっていたので、最後まで観てしまった。

実は、この作品を観るのは2回目だ。去年にDVDを借りて観たときは吐き気がするほど泣いてしまい、とても記事を書ける状態ではなかった。

冷静になってもう一度観た今、やっぱり良い作品だなあと思う。

 

 

***

野々宮良多(福山雅治)は大手建設会社で昇進街道驀進中のエリートサラリーマンだ。

高級車に乗り、高層マンションに居を構え、完璧主義の彼は毎日仕事漬けの日々である。妻のみどり(尾野真千子)とは社内恋愛の末結婚に至ったようだが、彼女は6歳の息子である、慶多の面倒を見るためか今は専業主婦だ。(彼女が家にいなければ家事はたまる一方だろうし、良多の稼ぎがあれば働く必要もないのだろう)

ある日、野々宮夫妻は病院から子供を取り違えてしまったと連絡を受ける。

取り違えられてしまったもう一方の家族は、野々宮家の対極にあるような人たちだった。小さな町の電気屋を営む斎木雄大(リリー・フランキー)と、弁当屋にパートに出て家計を支える妻のゆかり(真木よう子)、そして琉晴[りゅうせい]を始めとする3人の子供たち。

 

病院によると、取り違えが起こった場合、ほぼ血縁関係を優先させる方向に落ち着くのだという。紆余曲折を経て、野々宮・斎木夫妻は慶多と琉晴を交換して…つまり血縁同士で「家族」として生きていくことを選ぶのだが、野々宮家にやってきた琉晴は、高圧的な良多の態度に反発し、馴染んでくれない。

 

***

 

と、ここまで「取り違え」が主題であるような書き方をしてしまったが、その実、そんなに単純ではない。この映画は、「血か育ちか」という問題と並行して、タイトルが表すとおり「父親に、親になるということは何か?」を問うているからだ。

 

 

良多は、社会的地位の低さを嫌悪しているように見える。

それは自身の父親への反発からだろう。良多の父親はギャンブルをし、社会的な成功はそれ程得ていないことが伺えた。良多は、父の前妻、つまり実の母親への思慕を物理的に封じ込めようとした父親に反発し、父親を反面教師として社会的な成功に向けて努力したのだと推測される。

 

そしてこの嫌悪感は斎木家にも向けられた。

「何で電気屋なんかに…」そう口にする場面もあったし、飲み物のストローを噛んでしまう夫妻への眼差しは侮蔑的だ。

自分は彼等よりも優れている。だから優れた父親である。息子になる人物は、(それが慶多だろうと琉晴だろうと)自分に匹敵する能力を持っていてほしいし、そのような教育もする。ピアノの発表会で息子と同年代の女の子が難しい曲を弾きこなすのを観たら、息子(この時は慶多)に「お前は悔しくないのか?」とけしかけるような父親である。

 

一方で、斎木夫妻はこのような良多の心情を少しずつ察していく。

良多の態度に不信感を抱き反発しながらも、彼らは少しずつ諭しているようにも見えた。子どもを育てるとは、親になるとはどういうことなのかを。

「自分にしかできない仕事があるんですよ」と言う良多に、「父親だって自分にしかできない仕事ちゃうんか」、「良多の父親がどうあれ、同じようにある必要はない*1

そうして、時間の蓄積が重要で、子どもと触れ合って生きていくことが尊いのだと良多は悟るようになる。

 

***

 

しかし、勝手と言えば勝手な話である。

最初から最後まで、良多の育ての息子・慶多が意思表示をする場面は一度もない。最後に、良多との対面を拒否するという、それらしきものもあるが、尊敬する父親に「大人になるためのミッション」として「父親に会わない」というのを言い渡されたため、忠実に遂行しているだけだろう。

親の勝手で交換し、親の勝手で「(ミッションを)もうやめにしよう」という訳だ。

この騒動の前にも最中にも、息子はずっと父親のことを愛していたというのに。

 

 

私は、映画を観終わって、本当は慶多(良多の育ての息子)がどうしたいかを聞かなければいけなかったんじゃないかなと思った。琉晴は言ったのだ。「パパとママのところに帰りたい」と。それに対して、慶多は最後まで良多の言いなりだった。そのように教育したから、ということだろうか。

しかし、良多が自分だけの都合で「血筋優先」をゴリ押ししてしまったことに対して、またそれまでずっと「ダメな父親」でいたことに対して、その「ダメな父親」をずっと一途に愛してきた子どもからの赦しが必要だったのではないかと思う。

父親は生物学的には最初から父親だけど、本当の意味で「父親になる」には、親子相互の信頼と愛情が必要だ、というのがこの映画の趣旨だ。だから、本当に親子になるには、親と子、双方からの信頼が発せられていなければならず、良多が赦しを乞うたならば、当然それへの答えが、信頼の証として必要なのではないか?と思ったのである。

 

***

 

親子関係には双方の信頼と愛情が必要と書いたけれど、もっと言えば相互に親子になる努力自体がそもそも必要なのではないか?と最近感じている。

父親という存在については、私自身が屈折した思いを抱えているところがある。最初にこの映画を観たときに大泣きしたのもそのせいだ。父は社会的にとても(と言って過言ではないだろう)成功した人で、気付けば私は、いつも心のどこかで父と張り合っているというか、認められたい、失望されたくない、負けたくない一心だった気がする。

大学に入った時点で父の学歴を越せなかったところで「父親コンプレックス」が一時悪化したのち、最近は割とどうでも良いと思えるまで落ち着いてきたのだが、それは単に学歴負けたなあと認めたから、というのが一つ。もうひとつは、私が少し大人になったことで、話したり、笑ったり、時々怒ったり、行ってらっしゃいとかおやすみを言ったり…そういう普通のことが普通にできるようになったからだと思っている。

 

裏を返せば、数年前まではこういう普通のことすらできなかった。

何か問題が起こっても、それまで話し合う時間をとる習慣も時間もまるでなかったために(家族会議というものをしたことが無い。重要なことは大体父の一存で決める家だ。)、お互いにどう対処すればよいか分からずに気づかぬフリをしていたら、どうすれば良いかお互いに分からないくらいに距離が開いていた。(書いてて涙出てきた、父ごめん。)お陰で反抗期が終わっても父娘間は氷河期のままで、お互いに無理解の末に「お前最近おかしいぞ」と言われたりもした。しかしその一方で、父に認められたい、超えたいと思う気持ちもあり、随分と精神を消耗したように思う。

 

長々と書いてしまったが、そんなコンプレックスのピークも過ぎたようで、一息ついて思うのは、血がつながっていようと何だろうと、親子でいる努力をしなければ離れていってしまうということだ。親子関係の形も年齢によって変わるだろう。その時々で力関係も変わるのかもしれない。私にとっての努力は「おやすみ、お帰り、行ってらっしゃい」を言うとか、話すときに皮肉を言わないとか、興味ない話してても相槌打つとか、その程度のことだけど、その程度のことすらできなかった時代からしたら本当によくなっていると思う。父もそういうことを意識しているのかいないのか知らないけれど、最近はあんまり嫌味を言わなくなったし、出かける時にたまに手を振ったりする。そういう些細なことをたくさん積み重ねて、経験を共有することが親子をつくるのだと思う。この映画で良多が気づいたように。

 

***

 

今はだいぶんペースを落としているが、父はかつて、良多みたいに仕事ばかりしていた。休みの日は接待ゴルフに出かけ、接待ゴルフが必要なくなったときには会社の仕事が忙しくなりすぎていて土曜もよく仕事に出ていた。(日曜は家に居たのかもしれないが、どちらにせよ父との記憶はさほどない。)

正直、斎木夫みたいにもっと時間を割いてくれていたら、と恨めしく思ったりもした。でも、私は仕事の話をするときの父が一番好きだ。どうだ、矛盾しているだろう。

こうして絡まった思いを抱き留めて、私はもう一度父と親子になりたいと思っている。

 

 

 

***

☆☆☆☆

(自分の話ばかりしてしまった…)

 

 

 

*1:概略

【映画】ディナーラッシュ

 

 

Warning!  ネタバレを含みます!

 

あけましておめでとうございます。

2015年最初の記事はディナーラッシュ

三が日でいくつか映画借りたら返却し忘れて延滞料とられました。2500円…DVD一本お買い上げできましたやんっていう…。

 

***

伊坂幸太郎的な、気軽に観れる部類の謎解き映画だ。

舞台はニューヨークの人気レストラン。店は小ぢんまりとした家庭的なイタリアンとして始まったようだが、今ではスターシェフの息子に代替わりし、洒落た創作料理が売りだ。そして父親はそれが気にくわず、いまだ経営権のみ自分の手元に置いている。

このレストランの<ディナーラッシュ>の時間帯に繰り広げられる出来事がぎゅっと濃縮されて描かれている。主には父親が息子と政治的な争いをしながら、レストランの経営権をヤクザに強請られるかどうかというところなのだが、それだけではなく、強請りの切っ掛けになったギャンブル中毒のシェフ、店に現れた批評家、息子のスターシェフの彼女を名乗る女とその友人、店の一角のバーで繰り広げられるクイズ大会、そこに座っている謎の男…スタッフと客が直接・間接的に一体となって物語の終結に向かっていく。

ものすごく厳密に伏線を回収していくという訳ではなく、計画されていたこと、計画外に起こっていることが、独立しているのだけれども緩やかに合わさっている感じだ。

 

 

***

店のキッチンはまさに戦場で、手早く作られる料理はまあまあ美味しそう。それよりも、食べ物を作る所作が美しくてほれぼれしてしまう。

また、そういった料理とは裏腹に、シェフの自称彼女や批評家の描かれ方は皮肉たっぷりで小気味よい。ただ、シェフとギャンブル中毒のシェフの二股をかけていた女の人が典型的なアジアン(笑)って感じで若干萎えた。アジア人としてはもう少し普通の西洋的な美人にしてほしかった笑

サスペンスだけに(?)いくつか殺人もおこるのだが、特に最初の殺人はBGMもアングルも深刻すぎないため、あ、死んだーくらいのテンションで観られるのが良い。

 

 

これといった感想も思い浮かばないため、すごく面白いかと聞かれると微妙だが、丁度いい暇つぶしにはなると思う。

☆☆

 

 

 

【駄文】2014年に読んだ・観た作品リスト

ガキつかと紅白観ながら書いてるよ!

一応このブログは自分の振り返り用なので、2014年に挑戦した作品を書き出してみた。思ったより映画が多い。漫画も巻数書いていないから少ないように見えるけど、結構多い。そして本が現代ものばっかりだなあ笑 

(未)ってやつはかじり始めたけど挫折したやつとか、まだ観終わってない/最新刊やレンタルできる最新話まで目を通さぬまま止まっているやつです。

来年はもっと古典や文学に挑戦したいなあ、来年も当ブログを宜しくお願いします!

 

<映画>

・the Usual Suspects

アナと雪の女王

ガタカ

・華麗なるグレートギャッツビー

・そして父になる

言の葉の庭

Ghost in the Shell 

・あの頃ペニーレインと

・マイノリティリポート

・LIFE!

るろうに剣心

・アダムスファミリー

・バルフィ!人生に唄えば

・サイコ

カポーティ

・Groundhog Day

・卒業

・独裁者(未)

<本>

肩ごしの恋人唯川恵

・ウエハースの恋人/江國香織

・レイヤー化する世界/佐々木俊尚

TSUGUMIよしもとばなな

・野心のすすめ/林真理子

・桐島部活やめるってよ/朝井リョウ

・友情/武者小路実篤

・身分差別社会の真実/斎藤洋一, 大石慎三郎

・破戒/島崎藤村

・Poor Economics/ Banerjee, Duflo(未)

金閣寺太宰治(未)

包帯クラブ天童荒太

・世界は宗教で動いている/橋爪大三郎(未)

・告白/湊かなえ

・夜間飛行/サンテグジュペリ

・the Catcher in the Rye /J.D. Salinger

・The Black Swan /Nassim Nicholas Taleb(未)

<漫画>

めぞん一刻高橋留美子

失恋ショコラティエ水城せとな

坂道のアポロン小玉ユキ

姉の結婚/西とうこ

・午前三時の危険地帯/ねむようこ

・トラップホール/ねむようこ

となりの関くん森繁拓真(未)

よつばと!あずまきよひこ(未)

進撃の巨人/諌山創

関根くんの恋河内遙

・東京喰種/石田スイ(未)

ジョジョの奇妙な冒険荒木飛呂彦(未)

バカボンド井上雄彦(未)

・四月は君の嘘/新川直司(未)

・聲の形/大今良時(未)

<アニメ>

攻殻機動隊 Stand Alone Complex, 2nd GIG

サイコパス(未)

・鬼灯の冷徹(未)

・残響のテロル(未)